2008年3月10日月曜日

性転換症患者(TS)はどれくらいいる?


性転換症患者(TS)はどれくらいいる?

性転換症(トランスセクシュアリズム=TS)は一体どういう原因で起こるのか、というのは未だに諸説あり議論が続いているようです。それにも増して重要でありながら、簡単に片づけられているのが、一体どれくらいの数のTS当事者が存在するのか、という問題です。

世間に流布されている数字が現実とはかけ離れているのに気づいて問題を提起し、ひとつの明快な見解を提起したのは、自らもTS当事者として1968年に男性から女性へのSRS手術を受けた、パイオニア的なTS当事者であるアメリカのリン・コンウェイ氏です。コンウェイ氏はミシガン大学で長年コンピューター・サイエンスの教鞭をとるかたわら、教職を引退した今もTSに関する研究と啓蒙活動をされていて、彼女のウェブサイトをご存知の方も多いのではないかと思います。

遅ればせながら私もオーストラリアのサイトに掲載されていた彼女の論文を読みました。内容からは2001年の彼女自身の調査の基づき書かれたものと判断されます。彼女が一番問題視しているのは、性転換症の当事者の数が不当に少なく見積もられていること、そのためTSは「奇病」扱いされ精神科医の長期にわたる診察を経ないと当事者が望んでいるSRSによる治療が受けられない、社会的マイノリティー扱いされカムアウトをためらうTS当事者が圧倒的に多く、統計にも反映されず社会的にも不当な扱いを受けているなど、決して軽視してはならない大きな問題であることです。

勝手にわがもの顔に一人歩きしている数字とは、MtFは1:30,000人であり、FtMは1:100,000人というものです。3万人に1人や10万人に1人なら「奇病」かもしれません。しかし、コンウェイ氏の現実をふまえた推計では、なんとMtFは1:500から1:250となるのです!これが現実に近い数字だとすると、その与えるインパクトは広範囲に及びます。つまり、そんなに普通にある症状なら、医療体制の整備、健康保険、戸籍変更、親子関係、結婚、雇用、などなど・・・・。終わりのない意識改革、社会改革が必要になります。さらに、GIDやTSは人種、文化、宗教に関係なく世界中に存在することを考えると、もう気が遠くなるような・・・そう意識革命です。

私自身、2年前ほどに日本での人口統計を基に推定数字をはじいたことがありますが、その時には1:500となったのでびっくりしました。これでは多すぎて信じてもらえそうもないと思い、500人-1,000人に1人ということして自ら納得していました。今回コンウェイ氏の論文を読んで、推計方法に違いはあるものの、私の推計もそんなに的はずれではなかったと安心しています。

科学者であるコンウェイ氏のTS当事者数の推計方法や、今まで誤解をふりまいてきた権威あるGID団体やマスコミなどの無神経ぶりを指摘した論文はここでは少々長くなるため、(部分的に抄訳した箇所もありますが)その翻訳文を2回に分けて別途掲載しますのでご参考になれば幸いです。

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翻訳文はPDFフォーマットでも読めます。ここからClick


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