2009年6月2日火曜日

タイのTS美人コンテスト

<ミス・ティファニー・ユニバース>美人コンテスト

ビーチリゾートとして有名なパタヤで、毎年5月にミス・ティファニー・ユニバースという美人コンテストが行われます。これはタイ国内でもテレビ中継され高い視聴率を上げているので、タイ人なら知らない人は珍しいと思ってもよい。今ではインターネットで世界中に流されているので、その狙いであるTSのイメージアップと観光プロモーションには、それなりの役割を果たしているようです。

以前の投稿でも紹介したように、これらのTS女性は一般の女性より美人が多く、街中で見かければ女性がうらやましそうに後姿を追うのはときたま見かける光景です。過去のコンテスト(2004年)の出場者にはこのようなTS女性がいましたので、その美人ぶりを紹介しておきましょう。




2009年5月のコンテストの写真と記事はここをクリックして見てください。念のためリンク先はここです
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2603140/4153718

以前にも触れましたが、タイでは12,3歳頃からホルモン治療を始め、20歳頃にSRSを済ませるケースは珍しくありません。親も子供のおかれた性同一性障害という状態が分かれば、早めに必要な方策をとることに抵抗が(他国の文化にくらべて)少ないのではないかと思われます。その結果、ホルモン治療により10代後半には、皮膚や体型にも顕著な女性化が現れるのでしょう。その結果として、もちろん例外はあるものの、豊胸手術などの美容整形もすませた多くの美形のTS女性が生まれてくるというわけです。

美形のTS女性には明るい人生が約束されるとは限りません。やはりきびしい現実からは逃れようがないのです。GID/TG/TSは、「レディーボーイ」、「カトーイ」、という呼称で社会的には認知され、ゲイと同じように普通人の話題にもよくでます。タイ人はすべてのことに大らかなような印象を受けます。日本に比べればうらやましいような社会環境だと思えなくもないです。

ただ、いくら美形でも正式な女性として結婚はできないのが現状です。SRSを済ませて肉体的にも女性になっていながら、法的には戸籍上の性別変更は認められていないのです。はっと目を惹く美人女性が、男性のパスポートで海外旅行に出かけるというわけです。日常生活に欠かせないIDカードも男性表記のままです。性的マイノリティーには日本よりはるかに寛大なタイで、法律面では柔軟性に欠ける理由は単純ではないかもしれませんが、男女差別のある遺産相続の問題に関係してくるなど、タイ独特の社会背景があるような気がします。

とりあえず、タイの美人コンテストでハイライトを浴びる彼女たちの前途を祝福することにしましょう。と同時にその裏側に大勢いる普通のGID者が、ごく普通の人間らしい生活さえできればよいと苦悩しながら必死に生きていることに思いを馳せたいと思います。コンテスト優勝者のインタビューと同時に、日の当たらないGID者の現実なども映像で紹介するような配慮があれば、このような美人コンテストにももっと社会的意義が見いだせると思います。

若年層GIDへの配慮はできないか?
昨年5月23日の投稿で、ボストン小児科病院のノーマン・スパック医師が7歳の子供も対象とするGID治療プログラムを始めたというニュースを紹介しましたが、7歳ごろには大半のGIDの子供は自らの異変に気づいているのではと思われます。それを放置しないで、本人の悩みを早めに解明し、病院と家族のお互いの了解のもとに、最善と思われる教育方針や、長期的な治療の可能性を追求していくという方法は、試してみる価値は大いにあると考えます。

宗教的な偏見の多いアメリカ社会では、当然ながら非難する意見がありましたが、その後どう展開していくか興味があります。もしこの試みが成功すれば、本来の性での人生が長く生きられるようになるわけですから、その意義は決して小さいものではないはずです。

そこで、日本でも就学児童の登校拒否という社会問題がありますが、その理由のひとつにはGID児童が含まれているのでは、という気がしてなりません。決して勉強がきらいなのではなく、男子、女子、とはっきり色分けされて扱われる学校の集団生活ほど苦痛なものはないと思われるからです。振る舞い方も普通の児童とは違うために、イジメの対象にもなりやすいでしょう。現場の教師や教育委員会、さらには文部科学省など教育関係者がどれだけ性同一性障害のことを理解しているか、大いに疑問に感じます。この問題は人種、文化、宗教を問わず、世界的にあるわけですから、考えるだけでも気が遠くなりそうな大きな課題です。

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