2011年1月26日水曜日

「第三の性」エア・ホステスが離陸準備中


「第三の性」エア・ホステスが離陸準備中


1月25日付のタイのThe Nation紙をはじめインターネット3紙に、トランスセクシュアル女性3人が新規航空会社のエア・ホステスに採用されるという明るいニュースが掲載されています。「ザ・ネーション」を中心にして3誌の内容をとりまとめてお伝えします。ちなみに、日経新聞の26日夕刊の社会面にも簡単な紹介記事がありました。

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3月1日から運行を始めるタイの新しい航空会社「P.C. エア」が、トランスセクシュアルの就職志望者をエアホステスとして採用したというニュースが就労の悩みをもつ人たちを喜ばせている。採用された求職者の中には2007年のミス・ティファニー美人コンテストで優勝したタニャラートさんがいることも注目の的となっている。

P.C.エアの経営者ピーター・シャン氏は、この航空会社を立ち上げるに当たりトランスセクシュアルがエアホステスの仕事に適性を有しており、その可能性を以前から認識していたと述べている。

初期の職場教育期間を経た後は、トランスセクシュアルたちは他の女性エアホステスたちに交じって実地訓練を受けることになる。ただ他のエアホステスと違うのは、“第三の性”と記された金色の名札をユニホームにつけて乗務することで、これは空港の出入国管理を通過する際の混乱や乗客の誤解を避けるのが目的であるとシャン氏は説明している。

P.C.航空のスポークスウーマンによると、今回のトランスセクシュアルの採用枠は3人だけであるが、将来的には資格や適性を考慮して採用枠を増やしていきたいと述べている。今回の採用第一陣は17人の女性、10人の男性、そして3人のトランスセクシュアルとなっている。

2007年度のミス・ティファニーのタニャラートさん(23)は、最初は、以前に他の会社でもあったように就職申し込みは受け付けるが、最終的には採用しないというパターンかと思ったのに、あこがれていたこの仕事のチャンスが与えられて最高にうれしいと満面の笑顔。

採用されたもう一人のトランスセクシュアル、パンタカンさん(24)の話では、他の航空会社で以前エアホステスの採用申し込みをしたものの採用されなかった。後でその会社で働く友人から聞いた話では採用されなかったのは彼女がトランスセクシュアルであったからだと聞き、その差別意識にショックを受けた経験があると述べている。

パンタカンさんはカセサート大学卒でホスピタリティーとツーリズムの学位をもち、今度こそはこの仕事で成功したい、またタイの社会がトランスセクシュアルにより広い機会を与えるようになったのを心強く思うと述べている。

(注)タイではSRS後のトランスセクシュアルでも戸籍上の性別変更は認められず、身分証明書やパスポートなども元の性別のまま。SRS先進国ながら法的な整備がされていないのが問題視されている。トランスセクシュアルはタイ語では“カトーイ”と呼ばれる。


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この航空会社の機体にも書かれている“わたしはマイウェイで行きたい“という会社のモットーに従い、3人のトランスセクシュアルを採用した。

P.C.エアはバンコクのスワナプーム新国際空港を拠点とするハイクオリティーなサービスを目指す航空会社で、本年3月1日より運行開始する予定。日本の大阪や東京にも路線を拡大する計画があり、近い将来に“カトーイ”のエアホステスのサービスを受けるのも可能になりそうです。乞うご期待。

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私見ながら、“エア・ホステス”という呼称について。古くはステュワーデスに始まり、エア・ホステス、キャビン・アテンダント(客室乗務員)、フライト・アテンダント、などと呼ばれています。エア・ホステスは比較的古い呼称で、今ではあまり使われていないようです。“ホステス”と呼ばれるのがプライドを傷つけるのでしょうか。それとも、ホステスにふさわしいサービスはもう提供していないから、でしょうか。

今回の記事でもザ・ネーション紙は“エア・ホステス”を使っていますが、他のソースでは“フライト・アテンダント”または“キャビン・アテンダント(CA)”と呼んでいます。後者のキャビン・アテンダントやフライト・アテンダントは客室乗務員という職能を重視した呼称で、それはそれで結構ですが、ホステスの方がお客様を温かくもてなす人という元々の意味があり、人間的な温かみを感じます。

バーやナイトクラブのホステスではないですが、パーティを主催し来客をもてなす女主人はホステスとという尊称で呼ばれます。男性ならホストです。この方が人間的な温かみがあり、とくに笑顔で応対するであろう美形のTSエアホステスからは本来のサービスが期待できそうで、この呼称が一番ふさわしいと私は勝手に思い込んでいます。

ついでながら、看護婦さんは今では看護士などという無機質な呼称になっていますね。私も入院した経験がありますが、彼女たちは看護士などという無機質な存在ではなく、まさに天使ともいうべき温かい存在であり、個人的には今でも看護婦さんと呼んでいます。それでなにか問題があるのか、と開き直りたくなりますが・・・・・

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