2015年7月1日水曜日

同性婚、日本の現状は?

同性婚、日本の現状は?

同性婚に関しては日本国憲法による大きな障壁があります。 日本国憲法第二十四条は次のように規定しています。

「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」

これは戦後のマッカーサー司令官の支配するGHQより提示されたアメリカ政府原案に基づく条文です。

「両性」とは男と女を指すので、同性同士の結婚というのはあり得ないことになります。これは戦争放棄を謳う第九条と同じく、憲法改正なくしては不可能ということと私は理解しています。

これには政治家を巻き込まざるを得ず、大変な努力と時間が必要ですが不可能ではないでしょう。それとも憲法第9条を拡大解釈で迂回して海外派兵も可能にするような絶対多数与党による「バイパス法案」で乗り切りますか?

日本でも大きな第一歩となる動きが出ているようです。2015年3月31日、東京の渋谷区で「事実上の同性婚」を認める条例を区議会で可決したことです。 この条例は男女平等や多様性の尊重をうたった上で「パートナー証明書」を発行し、証明書を提示する同性カップルを夫婦と同様に扱うことを義務づけ、区営住宅への入居や病院での扱いなどで不利な扱いを受けないようにする狙いがあります。

渋谷区議会での条例の採択では出席区議31人のうち保守系の10人が反対したということは、「全員一致」などという社会的合意はまずあり得ないという証明です。しかし完全に支持されないままでも社会的、法的制約から解放されることで同性カップル当事者の生活には物心ともに大きな支えとなることは間違いないので、ここは素直に喜ぶべきだと思います。

この「パートナー証明書」には法的な効力はなく憲法の定める婚姻とは認めらませんが、渋谷区の区長は「国政に対しても人権上の課題として一石を投じ、歴史的な一ページを開いた」と条例の意義を強調したのは立派です。

この渋谷区の採択した条例が同性婚の合法化への第一歩となるのかもしれません。何事も小さな一歩から始まりますから。

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2015年6月21日日曜日

同性婚の世界を数字で見ると

同性婚の世界を数字で見ると (CNN – June 13, 2015)

(この記事は2012年5月に最初に発表された内容をベースにして、2015年6月時点で最新情報にアップデートされたCNN記事を日本語訳したものです。)

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アメリカ合衆国最高裁は2013年になると同性婚の支持者に2件の大きな勝利をもたらした。一つ目は伝統的な男女間の結婚を防御するための「結婚法防御法」に定められている権利・権益は、たとえ合法的な結婚であっても同性間の結婚カップルには同様には認めないという法的制約があったが、この規制が部分的ではあるが削除されたこと。二つ目はカリフォルニア州で一時期禁止されていた同性婚が連邦最高裁として再び許可を与えるという裁定をくだしたこと。この裁定以来、同性婚支持者を勇気づけるような出来事がつぎつぎに起こっている。

アメリカ合衆国における同性婚の変化ぶりを数字で追うと以下のようになる。

37州――アメリカで同性婚を認める州の数は以下の37州になった。(アルファベット順)/p アラバマ、アラスカ、アリゾナ、カリフォルニア、コロラド、コネチカット、デラウェア、フロリダ、ハワイ、アイダホ、イリノイ、インディアナ、アイオワ、カンザス、メイン、メリーランド、マサチュセッツ、ミネソタ、モンタナ、ネヴァダ、ニューハンプシャ、ニュージャージー、ニューメキシコ、ニューヨーク、ノースカロライナ、オクラホマ、オレゴン、ペンシルバニア、ロードアイランド、サウスカロライナ、ユタ、ヴァーモント、ヴァージニア、ワシントン、ウェストヴァージニア、ウイスコンシン、ワイオミング.

(州ではないが首都ワシントンDCも数字に加えると合計38となる)

(訳者注)アメリカ合衆国は50州より構成されているので、4分の3の州が合法的に認めていることになる。

  (男性カップルはネヴァダ州、下の女性カップルはアラバマ州)

13州――州法、または州憲法により同性婚を否定している州の数は13州ある。

4州――同性婚を禁止している州で、同性婚を認めている合衆国憲法に異論を唱え現時点で法廷係争中の州があり、それはオハイオ、ミシガン、ケンタッキー、テネシー、の4州である。その争点はそれら各州で同性婚禁止を合法と認定した下級審の裁定意見をめぐってである。

1統治領――アメリカの統治領で同性パートナー同士の結婚を認めているのはグアム。

約72%――アメリカ合衆国で同性婚が法的に認められている州で生活する人口のパーセンテージはおよそ72%。(2014年現在のアメリカの総人口は3億1200万)

900万人――アメリカ合衆国の成人(18歳以上)のLGBT人口は約900万人。

251,695――2013年現在のアメリカ人で同性結婚しているカップルの数。 (アメリカ地域人口調査局の調査による)

60%――同性婚を支持するアメリカ人の割合は60%になった。 (2015年5月時点のギャラップ調査による)

2001年――ヨーロッパのオランダが同性婚を合法と認定したのが2001年のこと。これが世界初の前例となった。

2003年――アメリカ連邦最高裁が法的に総称ソドミー(sodomy)と呼ばれる性的行為を刑事罰の対象とするのは憲法違反であると認定したのが2003年。

(訳注)「ソドミー」は広義では男性同士、男女間、また動物を相手にする肛門性交やオーラルセックスを指す用語。

2004年――マサチュセッツ州で同性婚が合法と認められたのが2004年で、アメリカでは最初の州となる。

19カ国――国全域で同性婚が合法と認められた世界の国の数は、以下の19カ国。

オランダ(2001)、ベルギー(2003)、スペイン(2005)、カナダ(2005)、南アフリカ(2006)、ノルウェー(2009)、スウェーデン(2009)、アイスランド(2010)、ポルトガル(2010)、アルゼンチン(2010)、デンマーク(2012)、ブラジル(2013)、フランス(2013)、ニュージーランド(2013)、ウルグアイ(2013)、ルクセンブルグ(2014)、英国(イングランド/ウェールズ2013/スコットランド2014)、フィンランド(2015)、アイルランド2015)。

    (2015年5月に結婚が成立したアイルランドの女性カップル)

2カ国――同性婚が州や地域によっては合法とされている国の数は2カ国で、メキシコとアメリカ合衆国がその例。

4州――アメリカ合衆国のうち同性カップルにシビルユニオン(事実婚)を認めている州は、コロラド、ハワイ、イリノイ、ニュージャージーの4州。

22%――アメリカの同性婚カップルのうち、養子や里子として子供を育てているカップルの割合は22%。(UCLAのウィリアムズ・インスティテュートによる2015年3月の調査から)

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[個人的感想]

ヨーロッパには小国が多く、人口も少ない上に人種や宗教も多種多様ではなく比較的まとまりやすい。北欧にみられたように性の解放も世界に先駆けて起こった歴史がある。一方アメリカは国土も広大で、今や人口も3億2千万人、多人種のるつぼと言われる他民族国家となっている。また、統一された精神文化は存在しないものの、アメリカ建国以来ヨーロッパより持ち込まれたキリスト教が基本となる道徳価値観が国のバックボーンとなっている印象です。

しかし同じキリスト教でも保守派のカトリックと比較的進歩的なプロテスタント派との見解の分かれる分野も多く、LGBT分野についての見解にも大きなへだたりがあります。ただ言論や表現には自由が保障されているアメリカでは、その自由を旗印として偏見に打ち勝ってきたという粘り強い自信があります。その自由の国アメリカでは確実にLGBTの権利が擁護される社会基盤ができつつあると思いますが、その道のりは決して楽なものではなかったようです。テキサス州のように同性婚は命をかけても絶対に阻止するという超保守派の支配する地域もあります。

正しいと思うと強引にでもつき進んで目的を達してしまうのが楽天的なアメリカ人の得意とするところです。アジア諸国ではLGBTは社会的には認知されてきていても、まだ同性婚は表立った話題にはなっていないようです。日本は今どの辺にいるのでしょうか?

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