2007年1月23日火曜日

もっと知りたいタイランド

タイ王国について
「タイ王国」が正式国名ですが、どこにあるか自信のない方は世界地図で確認してください。南はマレーシア、西にミャンマー、東にラオスとカンボジア、これらの国々に国境を接する東南アジアのおへそに当たる位置にあります。国土の面積は約51万平方キロで、日本の38万平方キロとくらべると約1.4倍の大きさです。バンコク都を含め76県の行政地域に分けられていて人口は約6,200万人で、日本の1億2,700万人のおよそ半分くらい。平方キロ当たりの人口密度からみれば日本の3分の一程度で、まだまだ空間に余裕のある、熱帯性気候のゆったりした国土といえます。

国民のおよそ95%が仏教徒で、国中いたる所で見かけるお寺の数からみても納得できます。キリスト教より歴史の古い仏教が国教ですが、信教の自由は完全に保証されています。西暦2007年は仏歴では2550年にあたり、正式な書類上では仏歴の年号が使われています。国民の絶大な親愛と尊敬を集めるプミポン国王(ラマ9世)を元首とする立憲君主制ですが、政治システムは日本と同じ議院内閣制のもとに、500人の下院(衆議院)と200人の上院(参議院)から構成され、政治の頂点に立つのは任期4年の内閣総理大臣です。

2006年6月にプミポン国王在位60年の記念式典が行われ、日本からも天皇皇后両陛下が参列されました。タイ王室と日本の皇室とはとくに親密な関係にあり、タイ国民の日本人や日本文化に対する接し方もたいへん友好的です。2007年はまたプミポン国王の80歳の誕生日となる年であり、いろいろな記念行事が予定されています。

農業従事者が就業者全体の40%ほどで最大ですが、GDPから見ると10%以下。製造業とサービス業を合わせたGDP比率が80%ちかくになり、タイが近代産業国家の仲間入りをしていることがわかります。とくに自動車産業では東南アジアの製造および輸出拠点として外国からの投資が続いており、日本の大手自動車メーカー全社とその周辺企業の数多くがタイに進出しています。企業の駐在員を含む日本人の長期滞在者は、大使館に登録した分だけでも2006年10月時点で4万人を越えています。

タイの気候
タイはモンスーン気候の影響を受け、大きくは雨季と乾季の二つのシーズンに分けられます。さらに細かくは、11月から2月が乾期ですずしく快適なシーズン、3月から5月が暑期で一年中の一番暑い時期、6月から10月が雨の多い雨期となります。ただ、雨期といっても一日中降ることはなく、午前中は快晴、午後から雲が多くなり、夕方に熱帯型のスコール、というパターンが多いようです。

バンコク生活と物価
まず豊富な物資に驚くでしょう。日用品から輸入ブランド商品まで、活気のある街には物があふれています。輸入ブランド品などは日本とほぼ同じと見てよいですが、国産の商品や外国ブランドでも国内生産されている商品は驚くほど豊富で、品質もよく値段も安いです。セブンイレブンなどのコンビニが多いのは日本以上という印象を受けます。外食が普通のタイでは、安い食べ物がどこにいっても手に入るのは安心ですます。通貨や所得水準が違うため単純な物価の比較はできませんが、全般的に日本の3分の一から5分の一と見てよいと思います。ちなみに、シネコンで見る映画は日本円換算で300円、タクシーの初乗料金が105円、スカイトレインが45円から。単身者用のアパート家賃が1万円前後。ただ、大卒の初任給が35、000円程度であることも忘れてはいけません。

食べ物
街頭に出ればまず目に付くのが、いわゆる「ガイジン」の多いことです。タイ語では「ファラン」と言いますが、ファランとは日本と同じようにヨーロッパ系の外国人を意味する言葉です。東南アジアのおへそたるバンコクは国際ビジネスの中心地でもあり、観光客のみならず多彩な国籍の人たちが駐在員として住んでいるコスモポリタンな雰囲気をもつ国際都市なのです。日本人駐在員だけでも4万人をゆうに超えます。コスモポリタンな都市には、地元タイ料理はもちろんのこと、世界中の料理がカジュアルな雰囲気のなかで気軽に味わえます。街頭屋台に抵抗感のある人にはデパート内の屋内屋台や食品売り場、ファミリーレストランなど、その選択肢の豊富さには驚きます。写真付きのメニューも多く、言葉はさほど問題になりません。日本食レストランは数え切れないほどで、屋台のたこ焼きからにぎりずしまで、まず不自由することはありません。また、タイ料理は辛いという先入観がありますが、辛くない料理もたくさんあることに気が付くでしょう。

安全について
海外旅行でまず気になるのが安全かどうかです。2005年早々に南部マレーシア国境付近で発生したイスラム系住民との争乱はまだ収束していませんが、幸いにも南部3県だけに限定された地域紛争でバンコクなどの中部や北部には影響が及んでいません。人口800万の首都バンコクは、世界の大都市としては珍しいほど安全な都市と言えます。街を歩く罪のない観光客がひったくりに遭ったり、襲われた話などはまず聞きません。外国人が殺人事件にまきこまれるケースはたまにありますが、これらはすべて何らかの理由があるからです。つまり、金、女、うらみ、などがからんだ結果です。気の短い日本人は人前でどなりつけたり、侮辱したりして相手のプライドを傷つけることを平気でやりますが、これらは東南アジアではどこでも禁物です。この最低限のマナーを守っている限り、観光立国として優等生のタイほど安全な国は世界でも珍しいといえます。

お買い物天国
これほどショッピングが楽しめる都市も珍しいでしょう。輸入のブランド商品などは世界どこでも同じようなもので、べつに珍しくもありません。ただ、バンコクにはそれらも豊富にあり、しかも日本もまねの出来ないような大規模にしてデラックスなショッピングモールがあちこちにあります。華僑系タイ人の資金力と並はずれた発想力、行動力は日本人には歯が立ちません。最新のショッピングモールはそれなりの見所がありますが、タイの買い物が楽しいのは地元の産物が豊富にあること、お祭りの夜店を思わせるなんでもありの歩道ショップ、バンコクの歴史を今に引き継ぐチャイナタウン、ナイトマーケット、広大なウィークエンド・マーケット、などこれらを見て歩くだけで一週間はかかりそうです。

衛生状態について
昔は飲み水に気をつけるというのが鉄則でしたが、最近はどこに行ってもペットボトル入りの安全な飲料水を売っています。レストランでもボトル入りの水が出されます。コンビニも至るところにあり、まず水は問題ありません。歯を磨くくらいなら水道水でも大丈夫です。東南アジアの屋台風景を見ると衛生状態が気になりますが、ちゃんと加熱調理した食べ物ならまず問題ないと思っていいでしょう。数多くある日本レストランではサシミやスシはごく普通のメニューで、半分以上を占めているタイ人のお客たちもこれらの生ものを平気で食べているのを見ると食文化の変化に驚きます。世界の三大料理に数えられるタイ料理の本場ですから、全般的な衛生水準は高いといえます。東南アジアの熱帯気候や旅の疲れの影響で体調が衰えることはよくありますので、慣れない食べ物のせいでお腹をこわすことはどこに行ってもよくあることです。不安な人は整腸剤などの薬を持参しましょう。病院やホテルの衛生状態は日本以上の細かい配慮がされていてまず問題になることはありません。

言葉の問題
外国人の患者を受け入れる私立病院には日本人スタッフが常駐しているのが普通です。医師とのカウンセリングや治療中の説明時には通訳としてお世話してもらえますが、個人的な用事までは頼めませんので別途通訳ガイドを手配する必要があります。タイ語は中国語と同じように四声という抑揚があり、これが棒読みに慣れた日本人には苦手です。またタイ文字はアルファベットではなく発音記号なので、これを覚えるにはいささかの覚悟がいります。また、カタカナで覚えたタイ語はまず通用しないと思った方がよいでしょう。短期滞在の訪問客にとっては、タイ語は「こんにちは」や「ありがとう」「おいしい」などのご愛きょう程度の外交ことばで十分です。あとは日本語や英語でなんとか意志を伝える工夫をするのがいいのではないでしょうか。
コミュニケーションの秘訣は言葉だけに頼らないことです。身ぶり手ぶりを交えて日本語や簡単な英語で意志を伝える工夫をすれば、たいていの場合意志の疎通ができます。ちなみに、バンコクでは英語を理解するタイ人が多いのには驚きます。それだけ、ここがコスモポリタンな都市だからではないでしょうか。好ききらいは別として、英語はやはり国際共通言語になっています。ドイツ人やイタリア人が下手な英語でタイ人とコミュニケーションをはかっているのを見ると、日本人もあやしげな英語が気にならなくなるでしょう。ここでは、言葉に関しては「マイ・ペン・ライ(気にしない)」精神でいきましょう。