2011年4月5日火曜日

女声・男声を歌い分けるTS歌手


女声・男声を歌い分けるTS歌手

いまタイのみならず中国などでも、YouTubeを通してセンセーションを巻き起こしている歌手がいる。
MTFトランスセクシュアル歌手、ヌンティタ・カンピラノン(愛称ベル)さんである。

Britain’s Got Talent というイギリスのタレント発掘番組で世界にセンセーションを巻き起こした、スーザン・ボイルなみの騒がれようである。このタイ版であるThailand’s Got Talentがバンコク・ポスト紙(4月2日版)に紹介されているので、その記事を翻訳してご紹介しましょう。

ヌンティタさんのなんとも愛くるしい顔立ちと、素直でやさしい見事な女声は観客の男女を問わず魅了してしまった。しかも、低い男声でも歌えるのがこのひとの才能なのです。





YouTubeで3月13日に放送されたコンテストの動画のタイトルは:
"Thailand's Got Talent: Boy or Girl?" (すでに327万以上のアクセスあり!ぜひトライしてみてください)

もう今頃には100万人以上の人たちがこのThailand’s Got Talentのシーンを見たに違いない。美しいの一言に尽きるトランスジェンダー歌手、ヌンティタ・カンピラノン(愛称ベル)さんが、女の声で歌い始め後半は男の低い声で歌い終えるという類まれなタレントを披露し、三人の審査員を煙に巻きながら、一方では観客を歓喜させたのです。

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(以下はインタビュー内容)
バンコク東北部のナコン・ラチャシマ県出身のヌンティタさんの言うには、「自分の覚えている限りでは、子供のころから自分は男の身体にとじこめられた女だと気づいていました。」

「軍隊に所属する父親の一人息子だったので、男の子である自分が女性的な態度や感情を表に出すのは父親とのもめごとのもとになりました。」

「学校では男の子たちは私をからかい、しょっちゅういじめられました。家では父に死ぬほど殴られたこともあります。父は私が“普通の子”であって欲しかったのです。」

いじめをどうやって乗り越えたのかの問いには、ヌンティタは歌を唄いたいという情熱がだんだん大きくなったのが救いになったという。

「小さいころから歌うのは大好きでした。お父さんはカラオケが大好きでした。おばあさんも昔は歌手だったのです。というわけで、歌への情熱は家系の血の中にあったのでしょね。」

「十代の頃、歌唱クラブに入りました。私の夢を実現するためにできることのひとつだったし、同時に他の男の子たちから距離を置くには好都合だったのです。」

「もっと大事なのは、歌唱コンテストで学校代表として認められるのは、学校でただのゲイボーイと呼ばれてからかわれるよりははるかに意味があったのです。」

職業学校での教育期間が終わると、ヌンティタはバンコクに出てもっと勉強したかったものの、家庭の経済事情がそれを許さずあきらめざるをえなかった。

「学校を卒業すると地元のラジオ局でDJの仕事が見つかり、さらにクラブで歌い始めることができました。」

ある晩、面白い発想がヌンティタの頭に浮かびました。それは、仲間の歌手たちを喜ばてやろうと男声と女声の両方で歌って見ようと決めたのです。

「男声で歌うと、観客は私がトランスセクシュアルだと気がついたらしいのです。皆さん大変喜んでくれました。その時以来、聴衆を前にするとこのトリックで歌っています。」

バンド演奏で歌っているうちに彼女の才能が発揮されただけでなく、ボーイフレンドもできたのです。

「ボーイフレンドもバンド仲間でした。8年間も一緒にいたのですが、私がバンコクのショーに加わる決心をしてからは関係が悪くなり、終わりになってしまいました。」

チャンスのドアが開けると、ヌンティタは迷わず飛び込み、心の声に従ったのです。Thailand’s Got Talentについてヌンティタがとくに感謝していることは、このショーはジェンダーが何であれ、皆それぞれに平等のチャンスを与えてくれることです。

「このショーに出ようと決めた理由は、すべてのジェンダーに開かれているからでした。私にとって最高の舞台であり、自分の才能と私が何者であるか、観客の面前で堂々と見せられる機会だったのが主な理由です。」

三人の審査員が全員一致で合格の票を入れたあと、ビデオの終わり部分でヌンティタはカメラに向かい、父親への短いメッセージを送りました。「お父さん、私はやっとやり遂げました。愛してるよ、お父さん」

このイベントの後で父親と話す機会があったかと聞くと、ヌンティタは「はい、父は今では私のことを誇りに思っている。そして、お前がどんな人間であろうとも、善良な心をもつ人になりなさい」との父親の言葉を教えてくれた。

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ヌンティタは女声、男声、とも両方使いこなせるということは、彼女は声の女性化手術など受けていない証拠です。歌うことで時間をかけて声の女性化に見事成功した、模範的な例ではないかと思います。

では、自宅のカラオケ装置を使って練習するというのも、簡単で実行可能な方法ではないでしょうか。

MTFの声の女性化手術については最近プリチャー先生とも話し合ったばかりですので、次回のテーマとして取り上げることにします。

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