2009年7月20日月曜日

アメリカのGIDニュース (その2)


<有名人のFTMがカムアウトすると…>

先回の投稿で、チャスティティ・ボノがFTMの治療を始めたとカムアウト宣言したニュースをお伝えしました。母親と父親ともアメリカでは有名人であり、本人自身もゲイ権利擁護の活動家として知られるチャスティティ・ボノの公然のカムアウトは、それだけ大きな社会的なインパクトがあったのです。

まず母親のシェールは世界的に知られる存在です。歌手であり女優でもあるシェールは、ポップ歌手として1億枚以上のレコードを売り上げ、アカデミー主演女優賞、グラミー賞、エミー賞などを総なめで受賞したほどの超有名人です。同じく歌手であった父親のソニー・ボノもシェールと結婚後デュエットを組んで、ともにヒット曲を次々と送り出した。

          <幼少の頃のチャスティティと歌手の両親>


ソニー・ボノはシェールと離婚後に再婚してその後は政界に転じ、カリフォルニア州選出の下院議員として環境保護に取り組み大きな実績を残すが、1998年1月スキー滑降中に立木に激突するという不慮の事故で死亡する。

今年40歳になった娘のチャスティティ・ボノ(通称チャズ)は、両親のテレビショー”The Sonny and Cher Comedy Hour” に小さな女の子としてレギュラー出演していた。成人してからは、自らレズビアンであると公表し、20年間もゲイやレズビアンの権利擁護運動に関係してきたという実績がある。最初のカムアウト当時は母親のシェールは困惑して、娘と別居する結果になっていたらしい。今回のカムアウトはさらにインパクトの大きい「トランスセクシュアル」という内容なので、さらに話題をさらうことになったのです。

          <女性らしい歌手から男性へのトランスの初期>

        
世間には誤解もある。性の転換というと外科的手術で性別を転換するものだと思う人が多いが、実際に性別適合手術(SRS)で性別を変更するケースはそれほど多くない。アメリカ人の0.25%から0.5%の割合でトランスセクシュアルが存在するという推測があるが、これは社会的な転換と医学的な転換との両方を含むおおよその数字だと見なければならない。

メディアはあまりにも手術にハイライトを当てるが、実際に外科手術にまで進むケースは多くなく、どれくらいのケースがあるかも頼りになる数字は把握できていない。とくに女性から男性へのFTMの場合は、何回にも分けて、また一年以上の期間と多額の費用がかかるので、仕事上や経済的な事情からも手術にまで進めないのが理由の一つだと思われる。

チャズの場合も書面でのマスコミ発表はあったが記者会見などは行われず、詳細はいまだ分かっていない。本人側から自発的に発表したことは、今後はチャズ本人が「男性」として認知され、男性として行動することを望んでいるということでしょう。具体的な治療方針はチャズ本人の必要と要求に応じて、また受け入れる医師の判断によって決められることでしょう、と友人は語っている。

FTMの治療は長期間にわたるものなので、マスコミも本人のプライバシーを尊重して欲しいと友人達は願っている。有名人がカムアウトする場合にはこのような特有のむずかしさがある。”People”誌に母娘の写真が大きく掲載され、娘が男性になると発表されたので、全米に知れ渡った。ただ、母親のシェールは「長い間本人も望んでいたことは知っていたので、今後は積極的にサポートしていく」と励ましているのが大きな救いです。

             <シェールとチャズ・ボノ>

         
〈以上はCNNニュースその他のソースからまとめたものです。チャズ・ボノのニュースはまた次回でもフォローします。〉

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