2007年6月19日火曜日

親・家族のためのGIDガイド (その2)


男と女は脳内構造が違う

GID(性同一性障害)がどのようにして発生するかまだ解明されているわけではないですが、仮説として受け入れられつつある説が前稿でもふれた生物学的な要因です。つまり、胎児の発生段階から生物学的な生成過程において、遺伝子やホルモンなどの相互作用によって脳内の構造が決定されていきます。この胎児の成長過程で、脳内の性意識の発達に生物学的な要因が大きな役割を果たしているという説が有力視されています。性意識とは、「男」か「女」であるかを自ら認識する脳の機能の一部です。これは身体の特徴の外観で「男」「女」を識別できる、外観による自己の性別認識とはまったく別ものと考えてください。

頻繁ではないにしろ、脳の性自認と、身体の性別を示す特徴が一致しないという現象が起こります。これは男女を問わず起こりますが、自らの意識している性自認と身体の性別との違いに気づく過程や、何歳ごろから意識するようになるか、またその違和感の程度などは個人により大きな開きがあります。このミスマッチが、何が引き金になって、どのようにして起こるのかが解明されていないのは何とも歯がゆいばかりですが。


トランスジェンダー(TJ)

この性自認と身体の性別との違いに違和感をもつ人たちは、「トランスジェンダー」または「TJ」の総称で知られています。トランスジェンダーの人たちが自らの性自認に基づいて表現している、社会的な行動はバラエティーに富んだものです。ある人は別の性別での行動は(例えば男性が女装する)、週末だけでも精神的に満足する。ある人は、行動範囲を広げて女装での買い物などの外出機会を増やし、またある人たちはグループの集まりに参加したりして、性自認を社会的にも自ら検証しながら違和感のない生活を送ろうと努めたりしています。


トランスセクシュアル(TS)

トランスジェンダーは医学的な治療は必要としない人たちもいて、カバーする範囲が広い総称です。その中に、自らの性自認に合わせて、身体の性とは別の性役割で生涯生きていきたいという、強い押さえることのできない感情を抱く人たちがいます。こういう人たちは一般人口から見れば少数ながら存在し、この人たちが「トランスセクシュアル」と呼ばれています。この用語には性別をトランス(=横断)するという意味合いがあり、それには、「男から女」へ、また「女から男」との両方があります。

「トランスジェンダー」と「トランスセクシュアル」の人たちの間で明確な定義があるわけではないですが、「トランスセクシュアル」という言葉は身体の「外観上の性別」から「性自認の性」に向けて横断中か、またはすでに横断をすませてしまった人たちを指す場合に使われているようです。男性から女性へのトランスをしている人は「トランス女性」、女性から男性へトランスする人は「トランス男性」となるわけです。このけわしく長い距離を横断して目的地にたどりついた人たちの多くは、その後は単なる「男性」、または「女性」として生きることを望んでいて、また周囲からもそのように扱って欲しいと願っているはずです。


ホモセクシュアル(同性愛)との違い

「性指向」と呼ばれるのは、性行動において同性を好むか異性を好むかという、パートナーとしての好みの方向性の問題です。その意味で、性指向が同性のみに向けられるゲイやレズビアンの同性愛者と、頭の性自認と身体の性の不一致に悩むトランスセクシュアルとは明確に区別して考える必要があります。簡単に言えば、同性愛者は性自認と身体の性に違和感はなく、身体の性を変えたいなどと考えたこともなく、今のままでハッピーなのです。一方、トランスの場合は、手術までしても身体の構造を変えて、頭で自認している性に合わせたいと切望している人たちです。

話しがさらに複雑になりますが、トランスの人たちの間にもストレート(異性愛)の人もいれば、ゲイ・レズビアン(同性愛)、バイセクシュアル(両性愛者)、エイセクシュアル(性無関心者)、などがいて性指向の点では普通の人と変わりません。また性指向が胎児の脳の発育過程と関係あるとの見方が研究者の間では支持されつつあり、それは根拠のない説ではなさそうです。それが証明されると、ゲイやレズビアンの同性愛者も、この世に生まれる前にすでにその性指向が決められていたということになります。

性的少数者を総称して英語の頭文字から取った「LGBTI」(=Lesbian,Gay,Bisexual,Transgender,Intersex)には共通して、生物学的な要因が関係していますが、これまでの説明からも両方にまたがるケースもあることがわかります(例として、TS+Lesbian)。また、共通しているもう一つの問題は、これら「LGBTI」の人たちは自らの責任ではないにもかかわらず、社会的に差別を受けているという事実です。社会の無知と無理解と、そして理解できない人たちを恐れて遠ざける心理がその根底にあるのではないでしょうか。


「セックス」と「ジェンダー」の区別

基本のおさらいになりますが、男性と女性を区別する特徴には二つの要素、「セックス」と「ジェンダー」、があります。「セックス」とは、肉体上の構造のことを指し、性器の外観だけでなく精巣(睾丸)や卵巣などの内性器も含み、男性と女性ではそれぞれが異なった構造になっています。「セックス」は日本語としては狭い意味の性行為を指して使われることが多く、海外旅行で記入する書類などに「SEX」という欄を見るとなんとなく違和感を持つことがあります。要するに、体の性別のことなのですが・・・・。

「ジェンダー」は二つの要素に分かれます。その一つが「性自認」で、誰から言われなくても自分で自覚している「男の子」か「女の子」かの性別意識のことです。もう一つは、「性役割」(=Gender Role)というもので、自分が社会的に男か女のどちらの役割で行動するかという規範です。昔にくらべると大幅に男女間の平等意識が高い社会になったとはいえ、学校では服装は明確に分けられ、スポーツや遊びゲームも別々なのが普通です。また、興味の対象もそれぞれ違っていて、付き合う友達も性別にグループが分かれます。

社会一般的には、性自認と性役割は一致していて、人間はみんな「男」と「女」の二つの種別に分類されると思い込んでいます。「男の子」は大きくなると「男」になり、「女の子」は「女」になるわけです。誕生して体の性別が判明するやいなや、自動的にその子の性自認も同じだと想定されるのです。ところが、時には少数とはいえミスマッチが起こるのに驚いてはいけません。外観の性別から周囲や社会が期待するものと、当人が内面で感じて行動で表現したいことがまったく合わないのです。このような状態が、当人にとっては深刻な「性別違和感」となって意識されるようになります。それはうつ病に近い症状かもしれません。


手術による治療に向けて

幼児期から思春期を経て、さらに成人期を迎えるにつれてこの性別違和感はますます激しくなり、我慢の限界と感じる人も少なくありません。違和感の程度には差はありますが、トランスセクシュアルと自認する人たちは自ら自覚している性自認に従って生きることを決意して、医学的治療を開始する人も多くいます。これはそれまでの社会的通念とは反対の性で生きるということであり、軽々しくできる決心ではありません。もう後戻りはできないのです。

その一歩としての精神科医による「性同一性障害」であるという診断に基づき、ホルモン投与の治療に入り、最終的には外科手術により身体の性別を本来の性自認に合わせる「性別適合手術」(=性転換手術)を受けるという順序で進みます。最初の治療開始から手術までは最短でも2年間はかかるのが普通です。男性から(本来そうあるべきだった)女性にもどるトランスセクシュアルは「トランス女性」であり、女性から本来の男性にもどる人は「トランス男性」と呼ばれます。手術の結果として自分本来の性にやっと戻れたことにより精神的な調和を得て、新たな人生を前向きに歩み始める当事者が多いという事実から、この性別適合手術の持つ医学的、社会的意義をもっと肯定的に評価すべきではないでしょうか。


手術後の性指向

前にもふれたように、性違和感は性指向とはまったく関係ありません。トランスの当事者も普通の人たちと同じように、パートナーの好みの対象は反対の性の場合もあれば同性の場合もあり、またどちらの性でも良い人、さらには性行動には興味を示さない人など、さまざまなケースがあります。興味深いのは、性別適合手術を済ませるまでは、手術後に自分の性指向かどの方向に向かうのか分からないというケースが多いことです。それまでと同じかもしれないし、また変わってしまうかも知れないということです。

性に関することはこのように不思議なことが多いのは事実で、当人だけでなく家族にとっても大きなストレスになりますが、性違和感・性同一性障害という症状は、病気ではないと同時に精神の病とはまったく関係ないということを、治療への第一歩の段階でよく理解しておく必要があります。


法的な環境整備も進む

国際的にも広く認められるようになった性同一性障害は、日本でもその対象者であるトランスの人たちの法的な権利がだんだん認められるようになっています。治療の一部は保険の対象にもなり、また名前の変更、さらに2004年からは性別適合手術を済ませた人には戸籍上の性別変更も可能になり、すでに50人をこえる対象者の戸籍変更が家庭裁判所で認められています。その他のあらゆる公的・私的書類の性別変更も可能になり、さらに、新しい性別にもとづき正式に結婚する道まで開らかれています。

もし家族の方が成人した息子または娘からその悩みを打ち明けられたとしたら、そのときは当人にとってはもうすでに我慢の限界に来ているときだと解釈してもよいと思います。家族の精神的サポートをもっとも必要としているのです。その時に家族、とくに両親の理解が得られるか、少なくとも理解しようとする姿勢が見られるかどうかが、当人の今後の治療に向けての取り組みに大きな影響を与えるのは間違いありません。

打ち明けるには勇気がいるのです。それを尊重して、理解を示してあげるのが親にできる大きな第一歩です。それが何よりも力強いサポートになります。現実には親から拒絶されるケースが多いのを見聞きするにつけ、なにはできなくても我が子を理解しようとする親らしい態度だけは示して欲しいと願わざるをえません。

**********
前稿のおさらい的な内容が多くなりましたが、次回は具体的な治療に向けてのステップを追っていきます。
**********

**********
参考文献としてイギリスのGID研究・TS当事者支援団体「GIRES」のウェブサイトを利用させて頂きました。(http://www.gires.org.uk/)(GIRES=Gender Identity Research and Education Society)
**********

2007年6月9日土曜日

親・家族のためのGIDガイド (その1)



性同一性障害(GID)とはどういうこと?

人間は幼少のころから自分が男であるか、女であるか、人から言われなくても自覚するようになります。その自覚にもとづいて男の子は男らしい、女の子は女らしい行動を自然にとるようになり、これを性の自己認識、つまり「性自認」と言います。その頭で自覚している性自認が、身体に表れている男の特徴(または女の特徴)と合致しないという症状が日本では「性同一性障害」と呼ばれています。同様のケースが世界中に数多くありますので、国際的には「GID」(=Gender Identity Disorder)として認知されています。

ざっくばらんに言えば、頭では自分は女の子だと思っているのに、オチンチンがくっついている。この違和感に気付くのは早い人では2-3歳ごろから、遅い人では思春期から自覚するようになり、歳とともにその深刻さが増してくるのが普通です。その違和感のもたらす深刻さは、おそらく常人には想像できない性質のものでしょう。

この性自認と身体の違和感には軽度の場合もあれば、どうにも我慢のできないほど深刻に悩むケースなど、さまざまです。年齢によっても悩みの度合いは違います。深刻な場合にはその最終的な治療方法としては、身体の方に手術で手を加えて(いわゆる性転換手術)、頭の性自認に合わせる方法しかありません。そこまで考えている性同一性障害者は「トランス・セクシュアル」、略して「トランス」と呼ばれています。トランスとは「男から女へ、女から男へ横断する」という意味です。また「トランス・セクシュアル」を略して「TS」とも呼ばれます。これらは蔑称ではなく、当事者たちが世界中で共通に使っている言葉です。医学上は「トランスセクシュアリズム」(=性転換症)という名称が付けられています。


GIDはなぜ起こる?

科学、医学の進歩した今日でもまだその正確な原因は解明されていません。ただ、仮説の段階ではありますが、男と女の脳の神経回路には明確な違いがあり、その回路構造の違いが「男」、「女」の性自認を区別している、という見解が研究者の間で注目されています。この「男」「女」に分かれる性分化は胎児期から始まり、誕生直前、そして誕生後も発達を続けます。これは他の哺乳動物でも同じことです。この性分化の進行にホルモンが重要な役割を果たしている、という仮説が一般的になっていますが、具体的に何がどうしてそうなるのか、というメカニズムはまだ解明されていません。

子供の性自認は普通ならば身体の特徴と一致しています。つまり、男の子なら男の子らしく振る舞い、女の子は他の女の子と同じような言動を好むものです。ところが、少数ながら身体の性別とは違った性自認をもつ子供が生まれます。この頭と身体の不一致は成人するにつれて変化する場合もあり、変化しないケースもあるため、子供の段階で将来を決めつけることはできません。ただ、身体の特徴に合わせて男(または女)として育てても、また親としてそのための環境を整えてあげても、この頭と身体の不一致が大人になっても執拗に続き、その結果トランス・セクシュアルとしての生き方を選ぶ場合も少なくありません。そして、その症状が精神科医や専門医によって「性同一性障害」として認定された場合には、ホルモン投与を手始めとして治療を開始し、最終的には「性別適合手術」(=性転換手術)に進むことになります。


「左利き」や「ゲイ」も先天性?

この医学的には「性転換症」(=トランスセクシュアリズム)と呼ばれる症状は、脳の神経構造が身体の構造と反対になっていることから起こると信じられていますが、その原因には生物学的な要素が関係していることは他の例からも証明されつつあります。例えば、左利きの人の場合です。多数を占める普通の右利きの人には、左手で字を書いたり箸を持ったりするのは奇異な感じがしますが、左利き当人にとってはごく当たり前のことなのです。生物学的にそういう脳の構造で生まれてきているのが原因の場合が多いそうです。また、ゲイやレズビアンなどの同性愛もすでに生まれる前に生物学的に決定づけられているという見方が近年注目されるようになり、近い将来の科学的解明を期待するばかりです。


治療の方法は?

性同一性障害の子供を、その身体の特徴に合わせて、家庭内でも社会的にも適切に扱っていけば、その症状を軽減しまたは防止できるのではないか、と誰しも考えることですがその有効性は未だに証明されたことはありません。反対に、性器の外観からは男女の区別がむずかしい「半陰陽」(=インターセックス)の過去の症例から証明されていることは、頭の性自認は性器官の外観とは関係なく機能しているという事実で、たとえ医学的に外観を変えても、またその変えた外観に合うように周囲が社会的な配慮をほどこしても、性自認は変えることはできないことです。

つまり、性同一性障害・性転換症の場合には、最終的には頭の性自認に合致するように身体を外科的な手術で変えるしか方法がないことになります。その一方、手術までしなくても日常生活に支障を感じない当事者の方も少なからずいるはずです。いずれにしても、性同一性障害を一つの単純な原因に決めつけるのは不可能で、複雑な多面的な要素がからみ合っていることは確かなようです。その診断に際しては当事者本人の自己申告が大きな要素となり、それを専門医の医学的な見解に基づいて将来の方向を探るという診断プロセスをとることになります。

結論として言えることは、性同一性障害・性転換症は脳の神経組織の発達過程と深い関係があることです。社会的な人との交わりや心理学的・精神科的な治療だけでは、この症状は解消されないことはすでに証明されています。継続的なホルモン治療に引き続き、性自認と肉体的外観を一致させるための形成外科手術(性別適合手術)に進み、当人を社会・心理面から支える連携したサポート態勢、そして当人に適した職場や社会的な役割を用意し補佐していく態勢があれば、当事者には大きな恩恵と精神的な支えになるでしょう。それにはまず、両親をはじめとする家族の理解が不可欠です。


親の責任ではない!

性同一性障害・性転換症は、医学的な治療の必要から、また将来の保険適用の可能性を視野に入れて、便宜的に「障害」とか「症」を付けて呼ばれています。この本来病気ではない「症状」は、数千年前のギリシャ時代から存在し、日本でも平安時代の文献に記述があることから、大気汚染や公害・薬害とも関係なく、また世界中のあらゆる地域に存在していることから、人種や文化とも関係ない。また、仏教、キリスト教、イスラム教、ヒンズー教など、宗教にも一切関係なく広く分布しているのは驚くばかりです。原因がはっきり究明されていない現段階では、「神様のイタズラ?」と言いたくなるのも無理ありません。どこの国でも無理解や偏見が根強くあるのは残念ですが、そのため英国では「トランスセクシュアリズム(性転換症)は精神病ではない」と、政府見解として公式に表明していることを付け加えておきます。

以上のことから、少なくとも親の責任ではないことは理解して頂けたと思います。根拠のない罪の意識から子供を遠ざけたり、親子や兄弟関係が疎外されているケースも少なくありません。社会的に少数者であるGID当事者は、親には想像もできない疎外感を味わっているはずです。親に求められているのは、ひとりの正常な精神をもった人間として理解するための、一歩の歩み寄りだと思います。そこから新しい親子関係が築けるのではないかと思います。

次回も引き続き、性同一性障害・性転換症について両親や家族の参考になると思われる情報を取り上げます。

**********
参考文献としてイギリスのGID研究・TS当事者支援団体「GIRES」のウェブサイトを利用させて頂きました。(http://www.gires.org.uk/)(GIRES=Gender Identity Research and Education Society)
**********

2007年5月16日水曜日

埼玉医大、性転換手術を中止


GID当事者やSRSに関心を持つ方々には大変驚きのニュースです。
1998年に最初の性別適合手術をして以来、現在まで約70例のFTM、約20例のMTFの手術を行ってきた埼玉医大が内部事情により性転換手術を当面中止する事態になったことが明らかになりました。

とりあえず、5月13日から14日にかけて一部の新聞やNHKテレビニュースでも報道されましたので、ここではご参考までに「アサヒ・コム」の記事をそのまま掲載させて頂きます。

**********
性転換手術、中核病院が中止 埼玉医大、担当医定年で
2007年05月13日

 心と体の性が一致しないことで苦しむ性同一性障害(GID)の治療の中核を担ってきた埼玉医科大学が5月から性転換手術(性別適合手術)の実施を中止したことが明らかになった。形成外科の教授の退職で手術の態勢がとれなくなったという。この手術は患者が戸籍上の性別を変える場合に必要とされる。GIDはようやく社会的に認知されてきたが、約1万人といわれる患者の治療の最終手段が断たれる懸念が出ている。

 埼玉医大は98年、国内で初めて公的に性別適合手術を実施。形成外科教授だった原科(はらしな)孝雄医師によると、現在までに延べ357人が手術を受けた。6割は乳房切除術だが、技術的に難しく、国内では前例がなかった男性器形成手術を21例実施している。

 山内俊雄学長によると、3月に定年を迎えた原科医師が4月末で退職し、執刀医らによるチーム医療態勢がとれなくなった。手術には熟練した医師が複数必要で、スタッフに経験を積ませてきたが、中心メンバーが体調を崩すなど継承できなかったという。

 形成外科は5月から10月までに手術予定だった60人弱に手紙などでキャンセルを伝えた。山内学長は「大学として性同一性障害の治療を続ける方針は変わっておらず、なるべく早く再開したい」と話す。

 GID治療は精神科、婦人科、泌尿器科など各科にまたがる。心の性と異なる性器を傷つけるなど深刻なケースもあるが、最終段階にあたる性別適合手術の受け皿は広がっていない。3年前から患者は家裁に申し立てて戸籍の性別を変更することが可能になったが、性別適合手術を受けていることなどが条件になっている。

 埼玉医大以外にも岡山大、関西医大などで実施されたが、件数は限られる。特に女性から男性にする場合には高度な技術と経験が必要で、病院挙げての態勢が必要なためだ。「形成医の間で理解が浸透しておらず、やろうという医師はまれなのが現実」と原科医師は話す。一般病院で治療を続けられないか探っているが、手術のリスク、医療保険の対象外なことなどでためらう病院が多いという。

 渡航して手術する人もいるが、安全性や手術後の継続的な治療の面で懸念がある。

 埼玉医大ですでに手術を受けた敦賀ひろきさん(39)は「あえて公に認められたプロセスで治療を進めてきた患者の立場を考えてほしい」と言う。手術後も機能的な問題が残り、再手術が必要な人も少なくないと指摘している。

**********

SRSを予定されていた方で今後の方針を決めかねている方には出来るだけの対応をさせて頂きますので、当サイトにご遠慮なくご連絡ください。
Email: masa.shimamura@gmail.com


2007年4月14日土曜日

同性愛と車のデザインは関係ありや?

昨日4月13日に投稿した同性愛についてのNYタイムズの記事はかなり重く、消化不良をおこしたかもしれません。12日付でまた同紙に今度は軽い記事が載っていましたので、同性愛の話題をとりあげた勢いで要点だけご紹介しておきます。

今のアメリカは比較的にゲイには寛大で(そこに至までの当事者の苦労と努力のたまものだと思いますが)、一つの文化的な流れを形成していると同時に、商品によっては無視できない大きなマーケットでもあります。

この記事で取り上げられているのは、アメリカ生活には欠かせない「くるま」のスタイルに関するものです。ちなみに、アメリカで「ゲイ」といえば、男性・女性を問わず同性愛者をさす言葉として広く使われています。

ここで使われている英語は比較的に簡単ですので、翻訳するのはやめにして解説だけにしておきます。抜粋して引用するのは以下のパラグラフ一段だけです。

**********
Gay by Design, or a Lifestyle Choice?
By Alex Williams, The New York Times, April 12, 2007

Subaru has been the most prominent company to embrace the gay market. As long ago as 2000, the automaker created advertising campaigns around Martina Navratilova, the gay tennis star, and also used a sales slogan that was a subtle gay-rights message: “It’s not a choice. It’s the way we’re built.” Little wonder that many lesbians refer to their Outbacks as “Lesbarus.”

**********

スバルのアウトバックという車種が2000年頃レズビアンの間で大人気だったそうです。プロテニス界の女王で、彼女自身がゲイであるマルティナ・ナブラティロワを起用した広告キャンペーンも評判で、その販売スローガンにさりげなくゲイの権利擁護のメッセージをこめたところが心憎いですね。「選んでこうなったのではなく、最初からこういう造りなのです」。この一行の英語が見事に効いています。

"It’s not a choice. It’s the way we’re built.”

先回紹介したニューヨークタイムズ記事の主旨と同じく、「ゲイは選んでなったわけではなく、生まれながらそう造られているのです」、というメッセージが秘められています。このスバルの広告キャンペーンにナブラティロワが起用されたということは、アメリカでは彼女がゲイであることは周知のことだったわけですね。わたしは知りませんでした。評判になったこの車にレズビアン自身が”Lesubaru”というあだ名をつけたというのもまたアメリカ的ですね。

一方、GIDはアメリカでもまだ少数派です。同性愛の地位に肩を並べるにはまだまだ時間がかかりそうです。日本でも東京世田谷区議として政治の舞台で声を上げ、現在再選を目指しているTSの上川あやさんのように、勇気ある当事者がもっと表に出られるように応援しなくてはいけないと思います。

2007年4月13日金曜日

性指向のパートナーは遺伝子が決める

4月10日に「タイのゲイ文化」について投稿しましたが、その直後に同性愛に関するニューヨークタイムズ紙の記事を見つけました。私には大いに参考になりましたので、かなりの長文ですが以下にその記事を少し要約して投稿させて頂きます。

同性愛とGIDとは別物であるとはいえ、GIDにも異性愛者も同性愛者もいます。この記事にもあるように、誕生前の遺伝子の作用がその後の性指向や性衝動を決定づけている可能性は大いにあり、まだ定説でないとはいえ、この分野のアメリカの専門家の見解として参考にして頂ければと思います。


**********
Pas de Deux of Sexuality Is Written in the Genes
By Nicholas Wade, The New York Times
April 10, 2007


性的な欲求ということになると、進化の法則は偶然にまかされることはまずない。人間の性行動は自由気ままに選べるものではなく、あらゆる過程で遺伝子プログラムが誘導していると、生物学者たちは気づき始めている。

異性間の性衝動は選択によって選ぶものではない。ストレートな男は女を相手として選ぶように仕向ける神経回路があり、ゲイの男にはほかの男性を求める神経回路がある。女性の脳には、自分と子供のために最善の保護を与えてくれるような男性を選ぶために、神経回路を整備する能力さえあると思われる。

その他の神経回路の働きも手伝って、ロマンチックな恋愛や長期の同居生活などを可能にするように、性行動に関する取り決めはすでに遺伝子により決定済みである。欲望が人間の性行動の根源だと思われがちであるが、それは長いドラマの中段の一幕にすぎず、台本のほぼ全体が遺伝子に書かれている。

母親の胎内では、胎児の身体はすべて女性とデフォルト設定されていて、男の性を決定づけるSRYとして知られる遺伝子が存在する場合だけ男性になる。この優性遺伝子はY染色体の誇るべき、また唯一とも言える属性で、これが卵巣になる運命の生殖組織を脇道にどかせて精巣(睾丸)になるようにポイントを切り替える。精巣から出るホルモンは主にテストステロンで、これが男性の身体を形成していくことになる。

過去10年間にわたる研究の成果として、脳はれっきとした性器官であり、男と女はそれぞれ根本的に異なるバージョンの機能をもっている、という思いも寄らぬ事実が明らかにされてきた。これは身体全体だけでなく、脳をも完全に男性化するというテストステロンの芸術的な仕事に他ならない。

男性と女性の脳の違いはあったとしても、それは小さな違いか何かの偶然の結果によるエラーで、ごくまれな少数のケースにしか見られない、という従来からの説は間違いである、とカリフォルニア大学アーヴァイン校のラリー・ケーヒル博士は述べている(Nature Reviews Neuroscience)。脳内で高度な情報処理の大部分を行う、広い面積を占める脳の外側の層である大脳皮質は、女性の方が層が厚い。最初の記憶装置として作用する脳海馬は、女性の脳の半分以上を占めている。


脳の働きをイメージ化する技術の進歩により、同じことをするにも男と女は脳の使い方が違うということがわかってきた。大脳側頭葉の核である扁桃体は、感情の強弱により記憶に優先順位をつける作業をうけもつ左右に一対ある器官であるが、女性は左の扁桃体を、男性は右側を使う傾向がある。

人間は文化の影響を強く受けるとはいえ、人間の脳は男と女の間の機能には明確なパターンの違いがあるのにはもはや驚くにはあたらない。男の脳はその性的欲望の対象は女性に向けられるように設定されている。その最も顕著な例は、包茎の手術ミスでペニスを失ってしまい、女の子として育てられた男の子のケースである。女の子として育つようあらゆる社会的な配慮がなされたものの、成熟するに従ってパートナーとしては男でなく女性を選ぶようになっていった。

脳の男性化が始まると、女性を好ましい思わせる何らかの神経回路が形成されていくものと思われる。そうだとすると、ゲイの男性においてはこの回路の配線は違っているはずである。欲望を感じる対象の男と女の写真を見せる実験では、ストレートの男性は女性を、ゲイの男性は男の写真を選んだ。

このような実験を女性に行っても同じような明確な結果は得られない。女性がストレートかレズビアンか自己申告しても、「女性の性的興奮の相手は無差別と言ってもいいぐらいで、男でも女の写真でも興奮を感じるようだ」、とノースウェスターン大学の性指向の専門家マイケル・ベイリー博士は言っている。「女性が性指向をもっているかどうかさえ、はっきりしない。ただ、女性は性的に好む相手はちゃんとわかっていて、非常に選り好み傾向が強く、ほとんどの女性は男とのセックスを選ぶ。」

ベイリー博士によると、性指向と性的興奮を司る神経回路のせいか、男は外に出てセックスの相手を探すのに対し、女性はセックスを求めてやってくる相手を受け入れるか拒むかに神経を使っているように考えられるそうである。

ミシガン大学の神経科学者マーク・ブリードラブ博士も、男女間の性指向の違いについては同じような考えを持っている。「たいていの男性はどっちのセックスを追求したいか、頑固なまでにはっきりした考えを持っているのに反して、女性の方はもっと柔軟性がある。」

男性の性指向については、誕生前にもう決まっているようだ。「この問題を研究している学者のほとんどは、男性の性指向を決定づける先行条件は人生の早い時期、おそらく誕生前に、作られていると確信している。女性の方はと言えば、同性愛者として生まれてくる人もいるであろうが、人生かなり年数がたってからそこに到達する人がいるのも確かである。

性行動というのは単にセックスのことだけではない。ラトガーズ大学の人類学者ヘレン・フィッシャー博士は言う。「三つの主要な脳神経システムが進化して、人間の再生行動に方向付けを与えるようになった。一つは、パートナーを探すように仕向ける性衝動である。二つ目は、特定のパートナーに結びつけようとするロマンチックな求愛プログラムである。三つ目は、親としての役割を果たすため長期にわたり生活を共にしたいという、長期的な結合を求めるメカニズムである。

「ロマンチックな恋愛は、初期の熱烈な段階では12ヶ月から18ヶ月続く、というのが人種・文化を問わず共通に見られる現象であり、脳にそのような回路が備わっていると思われる。」、という見解をフィッシャー博士は昨年発表している。脳をイメージ化した研究では、被験者が恋人の写真を見せられると、脳内のごほうびと認識する特定の部分が活発な反応を示すことが検証されている。

男性と女性における同性愛を理解するため、研究者たちは多大な努力を傾注していろいろな可能性を探ってきた。例えば、男性のゲイは遺伝子との関連からみて遺伝的なものではないかという見解であるが、ゲイの男性で子孫を残す割合はストレートな男性の約5分の一しかないことを考えると、同性愛と相性の良い遺伝子は急速に世界の人口から消えてしまう運命にあることになり、現状にそぐわない。

しかし、まだ可能性として残る説がある。それは、他の家族に子孫が多く生まれるチャンスを増やすために執拗に生き残る遺伝子があり、同性愛はその遺伝子の副産物として生まれるのではないか、というものである。ある調査によると、ストレートの男性にくらべるとゲイの男性には親族が多い、とくに母方に多い傾向があるそうである。

ベイリー博士は、同性愛の影響はもっとはっきりした形で現れるはずだと考えている。つまり、同性愛と相性の良い遺伝子が次の世代にわずかしか引き継がれないなら進化の法則で選ばれるはずはない。その意味では、男性の同性愛は進化論的には不適合であるとしか言いようがない。

同性愛の起源についてはもっと単刀直入な手がかりが指摘されていて、それは男兄弟の誕生順というものである。二人のカナダ人学者、レイ・ブランチャードとアンソニー・F・ボガートによると、複数の年上の男兄弟をもつ男性が同性愛になる可能性は目立って高くなるという。姉の数は問題にならず、また兄たちが同じ家に同居して生活を共にしているかどうかも関係ない。

この見解の意味するところは、男性同性愛は母親の子宮内部でのある出来事により引き起こされるもので、例えば、引き続き何回か男の子を妊娠したことへの母親の免疫反応ではないか、と昨年の学会誌に発表している。反男性の抗体が組成され、それが普通なら誕生前に男性化する脳をその過程で妨害するからではないか。ただ、そのような抗体は実際にはまだ検出されてはいない。

男兄弟の誕生順という説は実際には大きな影響をもっている。1パーセントから4パーセントの男性がゲイであると推定すると、約15パーセントのゲイ男性はその同性愛の原因が兄弟の誕生順に起因するといえる。また、兄の数が一人増えるにつれて同性に魅力を感じる可能性は33パーセントも増えるのである。

性指向を決定づけるのに決定的な役割を果たすのは、誕生前に循環しているテストステロンの量であるという考えは前述の説からも支持されている。しかしながら、胎児のテストステロンの量は計ることができず、成人したゲイやストレート男性はそのホルモン量は同じで、誕生前のホルモン量に関しては追跡のしようがない。というわけで、信憑性は高いものの、あくまで仮説であって証明されたわけではない。

性行動と欲望の基本を理解しようとする最近の研究の成果は、遺伝子が脳の性区別に直接的な影響を与えている可能性があるという発見である。テストステロンやエストロゲンのようなステロイド・ホルモンが、男性と女性の脳を形作るのに主要な役割をまかされている、と専門家も長年信じてきた。しかし、UCLAのアーサー・アーノルド博士の発見によると、試験管の中では男性と女性の神経細胞はすこし違った行動をとるのが見て取れる。同じくUCLAのエリック・ヴィラン博士の昨年の発見では、少なくともネズミを使った実験では、脳のある細胞においてはSRY遺伝子が活動していることがわかった。SRY遺伝子の脳での役割は、テストステロン関連の活動とは全く違っており、女性の神経細胞はその同じ役割を別の方法で行っていると推測される。

脳に関連する遺伝子が異常なほど多く「X」染色体上に存在しているのは偶然の仕業だろうか。脳の機能に関連して「X」、「Y」染色体が急に脚光をあびるようになり、進化生物学者たちも注目している。男性はただ一個の「X」染色体しか持たないため、「X」の遺伝子の一個になにか有利な変異が起これば自然淘汰の原理が素早くそれに乗っかり推進してしまう。そこで、もし選り好みのきびしい女性が理想の男性パートナーに頭の良さを求めるとするなら、なぜ脳に関連する遺伝子が「X」に数多く集中して存在するのか説明がつくのではないだろうか。

この世界を回転させている原動力は欲望であることを、それでも疑いますか?

(訳責:島村政二郎)
**********

2007年4月10日火曜日

タイのゲイ文化



(写真は華やかなレディーボーイ中心の舞台ショーで、ゲイとは直接の関係はありません。人気グループは世界中で公演しています。美形のTSにとっては晴れ舞台です。)

よくタイにはゲイが多いというコメントを聞きます。本当でしょうか。たしかに明らかにゲイとわかる人、またはゲイらしく見える人が多く目に付くのは事実です。タイで有名な風俗業のことではありません。

サラリーマンや、ホテル、レストラン、旅行会社の窓口、店員、病院、などいたる所で見かけます。普通の男性の服装もいれば、うっすらと化粧している人もいます。しかも、本人だけでなく、同僚やお客もべつに気にしている様子はありません。これがいたる所で見かける昼間のゲイの普段着の姿です。風俗業は別格としても、日本にくらべればゲイが多いという印象は旅行者がもつ正直な感想でしょう。

これは要するにタイはゲイに対する寛容度が高いからです。偏見がないと言えばウソになるかも知れませんが、社会的に受け入れられているだけでなく、職業によっては一般人より優遇されている面もあります。たとえば、ホテルのフロント、病院などの案内・説明係、学校の職員、店員、ウェイター、などです。また普通の会社員でもべつに問題にされることはありません。

私のよく知っているサムイ島のリゾートホテルのフロントに二人のゲイがいました。マネジャーによると、まず他の女性の従業員とは男女間の問題は起こさない、ちゃんとした教育も受けている、お客さんへの接客態度がていねいで細かいことにも気が付く、普通の男性より真面目で頼りになる・・・など良いことづくめでした。

またバンコクのある専門病院でも同じような見方をしていました。そこは男性の接客スタッフは少数ですが全員がゲイで、しかも院長の方針でゲイしか採用しないという徹底ぶりです。べつに、院長がゲイというわけではなく、前述のようにゲイの方が女性以上に細やかな気配りができるので、患者へのサービス面で得策であるという理由です。たしかにこの病院は繁盛しています。

タイ人の会話の中でよくゲイの同僚の話がでますが、特別視している感じはまったくありません。それはゲイが社会的に受け入れられていて、生活にも仕事にも特別な支障なく社会参加ができているからです。そのため、「タイではゲイが多い」という印象につながっているのではないかと思います。

性同一性障害と同じように、同性愛も生まれる前から決まっていた性指向だとすると、タイに特別多いわけはなく、ほぼ同じ率で日本にもゲイが存在するはずです。歴史的にも日本にはゲイについての文献は多くありますが、違いは現在の日本社会の寛容度に差があり、社会的に表に出にくいため、目立たないだけではと思います。

宗教的な偏見から、アメリカなども一部の都会を除けば決してゲイには住みやすいところとは言えません。TSにはさらに偏見が強いようです。先日バンコクのPAIでSRSを終えたばかりのイタリア人女性と話す機会がありました。彼女の言うところでは、イタリアもカトリック教の影響がつよく決してTSにとっては住みやすい国ではない。できればタイに住みたいくらいです、と言っていました。

そのタイでもゲイにくらべれば少数派であるGIDへの理解度はまだまだ低いという印象を受けます。私のよく行くレストランのウェイトレスにTSの女性がいます。けっして美形ではない彼女ですが、ニコッと笑顔でかいがいしく働いています。華やかなナイトライフ向きでない彼女にも、このような職場はちゃんと用意されているのがタイ社会の救いです。

2007年3月29日木曜日

現地と帰国後のパーソナルケア


事前のカウンセリング

手術のために外国に行くには、かなりの勇気と決断がいります。手術自体が不安なのに、タイのことなどほとんど予備知識がない。タイ語はもちろん、英語もおぼつかない。入院中の医療ケアはともかく、帰国までの2週間は誰か個人的な面倒見てくれるだろうか。相談相手になってくれる人がいるだろうか。

病院の設備や看護ケアなどは大丈夫か。SRSに実績のある医師がいるのか。病院からホテルに移った後のケアは。回復期間中はどうやって過ごす。和食レストランはあるだろうか。帰国前には観光や買い物もしたいが・・・。

表だっては話題にできない手術のために、外国に行く。しかも東南アジアの発展途上国へ。タイでの手術は経費面では安いとはいえ、面談やメール、または電話による事前のカウンセリングなしに外国での手術を決断するのにためらいがあるのは当然のことです。

私のPAI認定のカウンセラーの役割はまさにこのためにあります。

帰国後のアフターケア

SRSは手術さえ無事に終わればそれで終了というわけではありません。PAIの熟練した医師チームの手術はわずか3時間で終わります。5日後には退院して、その10日後には帰国できます。これで基本的には医師の役割は終わりますが、帰国後のダイレーションなどの長期間の作業は患者さんの責任で行わなければなりません。外部の手術跡や内部が安定するには3ヶ月、6ヶ月、場合によっては1年という期間が必要です。

医学界の常識として、どんな手術でも完璧ということはありません。帰国後の回復期間中に不安な症状や、医師の見解を聞きたいことは大なり小なりでてきます。ほとんどのケースは時間の経過が解決する問題ですが、患者さんに立場からは心配事であることにはかわりありません。その場合には日本語で相談できる、また必要に応じてPAIの医師からの指示を仰げる仲介役が必須です。その役割もPAI認定のカウンセラーの私の守備範囲です。PAIのプリチャー医師と過去2年半以上にわたり、信頼関係を築いてきたことがお役に立てると自負しております。

[カウンセラー料]
私はいわゆる「エージェント」ではありませんので、基本姿勢としてSRSに関してはPAI以外の医療機関を紹介することはいたしません。SRSカウンセラーとしてのサービス料は頂きますが、個々のケースにより異なりますのでご相談に応じます。以下にメールでご連絡ください。
Email: masa.shimamura@gmail.com