2014年1月23日木曜日

同性愛禁止法に大統領署名 (ナイジェリア)

LGBT関連ニュース(アフリカ・ナイジェリア)

同性愛禁止法に大統領署名(ナイジェリア)

(2014年1月13日付け: Voice Of Americaより)

LBGTに対するアジア諸国での法的対応を数例取り上げてきましたが、今度はアフリカのナイジェリアの最新情報を紹介いたします。

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ナイジェリア大統領グッドラック・ジョナサンは同性結婚と同性愛団体の会員資格を禁止する法案に署名し法律が成立する運びになった。

この法律によるとゲイクラブに参加すること、および「ナイジェリア国内において同性同士による性愛行為を公衆の面前で演じる者」は法律違反とみなし最高10年の懲役刑に科するという。

さらに同性結婚や同棲契約などの行為は最高14年の懲役刑が科されることになる。

この新しい法律制定にはアメリカ国務省のジョン・ケリー長官から抗議の声明が寄せられた。ケリー長官の声明では、「アメリカは同法案に重大な懸念をもっており、ナイジェリアの憲法に謳われている人権擁護の精神に違反するものであり、ナイジェリア全国民の集会と交流、表現の自由を著しく制限することが懸念されるものである」と述べている。

西洋諸国とは異なり、多くのアフリカ諸国では同性愛に対する反感にはいまだに根強いものがあり、うち数カ国は最近になり同性愛をきびしく制限する内容の法律を制定する動きを示している。

先月にはウガンダの議会はある種の同性愛行為を終身刑で罰する法案を通過させたばかり。その法案はヨウェリ・ムセヴェニ大統領の署名を待って成立する運びになる。

<ナイジェリア大統領グッドラック・ジョナサン>

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以下は翌日1月14日の続報です。一部重複する部分があるため抄訳とします。)

ウラズリケ氏は人権擁護活動家で、ナイジェリアでは同性愛封じ込めの法律制定に反対の声をあげてきた少数のひとたちの一人。このような法律はゲイをターゲットにしたように思えるかもしれないが、他の人々も傷つける可能性があると言う。

たとえば、ナイジェリアではゲイの男性は17%という高い率でHIVに感染しており、このような法律ができると逮捕を恐れて治療を受ける機会を逃してしまうことになるだろう。

また、HIV患者にサービスを提供している団体もこの法律によれば閉鎖しなくてはならない。同性愛者のなかには既婚者もいるし、ガールフレンドもいるだろう。そのような女性もやがては結婚して子供を生む人もでてくるだろう、そうなるとどうなるだろうか……ウラズリケ氏は言う。

西洋の多くの国とは対照的にゲイに対する反感はアフリカの多くの国で感じられ、今回の法律制定も実のところナイジェリア人の間では評判がいい。街頭で一般大衆の声を聞いてみると、彼らの共通の心理が以下のサンプルに読み取れるだろう。

“このニュースはたいへん喜ばしいことで正しい方向への一線なので神に感謝しなくてはならない。”

“この件はキリスト教とイスラム教に反しており、非常に悪いことなので連邦政府の方針を支持します。”

“これは正しいことですよ。もっと前にやっておくべきことでした。憲法の中にも謳うべき内容のものですよ。”

ナイジェリアの国会議員はもう何年にもわたってこのような法律を検討していたのです。その法律にジョナサン大統領が先週署名して一般国民には月曜日に発表されたのです。

西洋の何カ国かの国はこの法律に異をとなえましたが、英国などはゲイを封じ込める法律を制定するアフリカの国からは援助を撤回するとおどしました。

政治分析家によればこの法案のタイミングに注視すべきで、2015年は選挙の年で大統領の人気にかげりが見えているのです。アブジャ大学のアブバカール・アリ政治学講師によれば、同性愛者の権利は貧困の極に生活するナイジェリア人の大半には切実な興味のあるテーマではなく、今回の法律制定には多くの市民が賛成すると予測されます。

「イスラム教徒もキリスト教徒もゲイの権利については圧倒的に反対の立場をとっており、大統領も次回の選挙で政治的に有利になることを狙っているのでしょう」とカーン氏は言う。

ツイッター上ではこの法律に反対する人たちが抗議運動を呼びかけている一方、賛成派の人たちは西側諸国に対してナイジェリアの文化に口を挟むべきでないと抗議している。

ナイジェリアのゲイたちは性指向を隠してたえず身に危険がふりかかることを恐れ、自分の家族や友人からも捨てられることを恐れて暮らしている。活動家のオラズリケに自らの身を守るためにナイジェリアを離れる気はないかと聞くと、「ゲイのほとんどが隠れて生きている現状では誰かが彼らの代弁者になって声をあげなくてはならない。逃げるわけにはいかない。」、と言う。

ナイジェリアではキリスト教徒が国民のほぼ半分、残りの半分はイスラム教徒だと言われている。キリスト教もイスラム教も同性愛は神の教えに反するとして容認しない。まして同性愛をきびしく罰する法律が成立したこの国で、今後同性愛者やその他の性的マイノリティが社会からどういう扱いを受けるかは想像に難くない。

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(付記)

歴史的にはアフリカ諸国のほとんどが西側諸国の支配下にあったため、独立後もキリスト教が根をはっている。キリスト教はゲイには反対の立場が強く反映されていて、自由の国と思われるアメリカなどでもLBGTには強烈な反感をもつ人口も多い。アフリカはまたアラビア半島からのイスラム教の勢力もつよく、イスラム社会も同様にゲイをはじめLGBTの存在することすら正式には認めていない。

カトリックの総本山とも言えるバチカンをおひざもとに抱える国イタリアも、トランスセクシュアルには暮らしにくいところですよ、とバンコクに来てSRSを受けたイタリア人MTFが話してくれたことを思い出します。

人間を救済するはずの宗教がぎゃくに迫害する教えに固執している様を見聞きするにつけ、特定の宗教に固執しない、また極端な偏見のない日本がいちばん住みやすい国ではないかと思えるようになります。私の実家のように神棚と仏壇が同じ家にあり、神道と仏教が渾然として日常生活に共存する日本人の精神構造は柔軟性と包容力を象徴するもので、その「いいかげんさ」が住みやすい国の要件ではないでしょうか。

アジアきっての仏教国タイなどもいいかげんさでは立派な国です。まじめに考えると腹がたつほどのいいかげんな面がありますが、だからこそ人気があるのでしょうね。

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