2012年4月25日水曜日
トランスジェンダー女性が政治をめざす(タイ)
ヨランダさんが政治の道へ(タイの話題)
その美しさでタイ全土を魅了したトランスジェンダー女性が地方議会選挙に立候補したことが大きな話題となっている。トランスジェンダー女性が政治の分野に進出するのは別に珍しいことではなく、世界的にもその例は少なくありません。
タイではとくに地方政治は男の世界という既成概念があり、それをトランスジェンダー女性が打ち破ろうとするのは勇気のいることで、やはりニュースバリューがあります。また当人が数年前の美人コンテストの優勝者でもあり、トランスジェンダーの地位向上に社会活動をしている頭のよい女性であることも話題性を高めているようです。4月25日版のタイの英字新聞「ザ・ネーション」の記事をご紹介します。
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“私のこれまでの経験と能力を生かしてナン県の将来にお役にたてることには自身があります“とヨランダ
さん(30歳)が抱負を語ったのは昨日のことです。(注:ナン県はタイ北部のラオスに国境を接する県)
地方議会の議員選挙にトランスジェンダーが出馬するのは初めてのこと。ヨランダさんは政治の世界ではニューフェイスですが、2000人の会員を擁するタイ・トランス女性協会の会長として名を知られる存在。すでに長年にわたりトランス女性の権利を擁護する運動に関わってきている。
宝石の事業やサテライトテレビ放送にも関わると同時に、博士号取得をめざして勉強中の身でもある。昨年には報道団体からタイ社会でもっとも影響力のある女性のひとりとして選ばれた。
“トランスジェンダーやホモセクシュアルの人たちからは支持を集められると信じています”と彼女は語る。16歳の時に性転換手術を受けた彼女は、肉体的には女性であるが、タイでは現行法にもとづき公的文書では依然として“ミスター”扱いされる。
エンターテインメント業界にもヨランダさんのナン県議会選出馬を歓迎する動きもある。Mプラス財団のポントーン・チャラーム氏は、ヨランダさんの県議会選挙出馬は、“長い間この国の政治を牛耳ってきた政治の世界に多様性をもたらすいい機会になる”と述べている。
ヨランダさんは母親がベンスアンタン地方の区長を努めていた関係もあり、北部の地方議会選では当選の可能性は高いとみている。対抗馬として選挙にでるのは男性二人。立候補受け付けは月曜日から今週の金曜日まで。
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<コメント>
まずヨランダさんの写真を見てください。美しい女性ですね!こんな輝くような女性にはめったにお目にかかれません。
彼女のトランスジェンダー女性活動をサポートしているPAIのプリチャー先生とも親交があり、先月バンコクで先生とお会いしたときのこんな発言が頭に残っています。
「タイではトランスジェンダーと分かると、十代早々からからホルモン治療を始め、SRSが受けられる年齢(現在では18歳)になるとすぐ手術を受ける。この利点は、骨格や皮膚・筋肉、声の男性化が定着する大人の年齢になる前に、ホルモン治療とSRSによって女性化が定着するので、女性として社会に同化しやすい。」
法的規制のしばりがある日本人には、また早くからトランスジェンダーを自覚していた当事者にとっては、はがゆいのが日本の現状です。タイの問題はSRS後も法的な性別変更が許されていないことです。
タイ社会ではすべてがおおらか、いい加減、自分勝手、と思える社会環境があります。しかし、その裏には自分の判断でなにをやってもいいが、“自己責任”であることを忘れるな、という不文律があるような気がします。
日本では何か起これば他人のせいにする甘えの構造がはびこり、結果的に規制の多い窮屈な社会になっています。タイ社会のいい加減さにうんざりしながらも、その居心地の良さに魅かれる日本人が多いのも事実です。
関係ないような話になりましたが、これもSRSの現状の両極を表しているというのが日頃からの私の感想です。
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