一歩前進、法廷闘争に勝つ
8月31日のバンコクポスト紙によると、タイ防衛省が所属のトランスジェンダー徴集兵を“精神障害者”と公式文書で呼称しているのに反旗をひるがえして、当事者のカトーイ(トランスジェンダー)とTSサポーターたちが法廷闘争に立ち上がった。その判決が9月13日に言い渡され、14日の紙面ではみごと勝利の判決が写真入のニュースとして報じられました。
SRS大国ながら自国民に対する法的な差別は依然として残るのがタイ社会の実情なので、タイのTJ・TS関係者の将来への朗報となったこのニュースを8月31日の記事とまとめて紹介いたします。
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[写真] サマートさん(左から2人目)と友人たちがプラカードをかかげてトランスセクシュアルへの差別廃止を訴えた。
行政法廷への訴えは防衛省に対するもので、当人のジェンダー認識を理由に“精神障害者”として徴兵記録に記されているのがその理由。
サマートさんをリーダーとする女装のTJたちは、サマートさんや他の女装TJを2005年に制定された軍規により“恒常的精神障害者”として明記する徴兵記録の変更を求めて行政法廷に訴状を提出した。
同様の反論に対する行政官庁の従来の見解では、自らの性別に違和感をもつ当事者で性転換手術を受けていない者は“カトーイ”と呼ばれる。すでに性転換手術を済ませている者は、軍法にしたがい“精神障害者”として認定されるべきである、との認識であった。その根底にある理由は、手術によって復元不可能な身体になっているからである。
ただし、ホルモン補充療法や豊胸手術などの身体への変更は、まだ復元の余地が残されているため精神障害者には含めない、との見解であった。
「当のサマート氏はまだ性転換手術を受けていないので、恒常的精神障害者と認定したのは不当であると考える。したがって、防衛大臣は30日以内にサマート氏の徴兵記録を精神障害者からカトーイに変更すべきである」、と政府行政委員会の一員であるクリチョット氏は自らの見解を述べた。
行政法廷の審理手続きでは、複数の政府行政委員が審議したのち行政委員長が意見を集約して結論に導くための制度があり、委員長はこの案件を審議する行政法廷の代表判事がつとめる。
サマートさんは委員の意見に勇気づけられたと言いながらも、9月13日の判決まで待たなければならないこと、また防衛省内の関係規則の変更などやっかいな手続きがあること、うわさでは性に違和感を抱く者は「自らの性志向と生来の性別は相容れないこと」を表現する新しい用語を考案中らしい、などと述べた。
およそ20人のゲイグループのサポーターたちが、法廷の前で7色の傘をかかげながら応援に色をそえていた。
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9月13日判決日。行政法廷の防衛省に対する判決は「性転換手術を受けていないトランスセクシュアルを恒常的精神異常者と徴兵記録簿に表記してはならない」いうものだった。
[写真]原告サマートさんは勝訴の判決に笑顔のVサイン。
従来の呼称が侮蔑的であると不満を訴えていたトランスセクシュアルや人権活動家たちは喜びの声をあげた。この判決によりトランスセクシュアルを徴兵義務から免除する理由の基準を明確化する動きが加速すると思われる。
また、性転換手術を受けていないトランスセクシュアルをどう表記するか検討するよう防衛省に求めた。判決によると「徴兵制度は防衛省の重要な役割であり、人権侵害をふせぎ軍役への興味を維持するためにも法制の改定を急がなければならない」。
“恒常的精神異常”は“性同一性障害(gender identity disorder)“と変更される可能性が強いと思われる。
“Sor Dor 43”として知られる文書は就職時の申請書などに広く用いられる様式で、これに“恒常的精神異常者”と書かれてはトランスセクシュアルがまっとうな職業につくことはまず考えられない。性の多様化を推進するグループの代表も、今回の判決により政府機関だけでなく民間企業の経営者などもその趣旨をくんで改善してほしい。また、同様の悩みをかかえるグループが協力して、性的違和感は精神異常ではないことを証明する公的な文書を求めて運動を続けていきたいと述べている。
陸軍予備役司令部のチャーチャイ大佐は、陸海空軍ともこの修正作業がすでに進行中であるのでこの判決に控訴することは考えられない。また、国家評議会もこの修正提案を検討中であり、来年の徴兵時期までには実施されるのではないか、と述べた。
さらに、この修正案のもとでは、性転換を受けないトランスセクシュアルはカテゴリー2として登録され、このカテゴリーのひとたちは、その年の徴兵数が予定数に満たない場合には軍役に召集される可能性がある、と述べた。
(注)タイでは21歳から兵役義務がある。
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[私見]今回のタイの判決はたしかに一歩前進であり、社会的に隅っこに置かれたTSの立場にすこし明かりがともった感じはあります。しかし、根強い偏見は依然としてあります。後戻りのできない性転換手術を済ませたトランスセクシュアルがどう扱われるかはこの段階では明らかでなく、差別的境遇が続くのではないかという予感がします。それにしても“恒常的精神異常者”はひどすぎました!
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